1: 海江田三郎 ★ 2016/06/29(水) 19:48:37.46 ID:CAP_USER
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15668.html
「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数ある
経済ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。
名古屋型の喫茶店として店舗を拡大している「珈琲所 コメダ珈琲店」を運営するコメダホールディングスが、
6月29日に東京証券取引所に株式を上場する。上場が近づき、各メディアでは、同社の経営状態の分析や今後の成長予想といった関連記事が報道されている。
そんなコメダを、筆者はメディアの注目度が低かった8年前から取材してきた。そこで今回は上場を機に、あまり知られていないコメダの一面を紹介してみたい。
高収益率を支えるメニューの絞り込み
今回の上場にあたり、コメダの利益率の高さが注目された。2016年2月期の連結売上高は217億円、営業利益は66億円、当期純利益は41億円となっており、
営業利益率は30%を超える。高収益の理由は複数あるが、ここでは店のメニューに焦点を当ててみたい。
筆者が同社を取材し始めた頃、ある業界紙の編集部長が「コメダは喫茶店のテーマパーク」と説明してくれた。広い店内に数多くの
メニューを揃えているという意味だったが、実は店のメニューは絞り込まれている。
たとえばコーヒーメニューは、ブレンドコーヒー、アメリカンコーヒー、カフェオーレ、ウインナーコーヒー、アイスコーヒーなどとなっており、
昭和時代の喫茶店メニューそのものだ。近年人気の「サードウェーブコーヒー」もなければ、単一の豆を用いてブレンドしない
「シングルオリジン」もない。1杯ごとにサイフォンなどの器具を用いて時間をかけて淹れるといった手法ではないので、品数は多いが
店舗運営としては効率的なのだ。
フードメニューもごはんものはなく、パンメニュー中心に絞り込む。有名なモーニングサービスでは無料でトーストとゆで玉子がつくが、
このゆで玉子はエッグサンドやエッグトーストなどの具材にも用いる。長年の店舗運営経験から、新店舗以外は注文数がある程度把握できるので、
食材を無駄なく消費でき廃棄ロスも少ない
ただし、効率一辺倒ではない。メニュー構成を絞る一方で、つくりたての提供にこだわり、各店舗ではひと手間かけて調理する。
たとえば、カツサンドのカツは店内で揚げており、パンは仕入れ商品ではなく自社工場で製造する。
また、カツサンドのパンとミックスサンドのパンは別の種類を使用しており、食パンは風味を重視し、工場でスライスせずに
山型のまま各店舗に配送。注文を受けてから、店でスライスして提供している。
真似する競合が続出した「コメダモデル」
コメダは1968年に個人喫茶店として開業した。創業間もない70年から地元を中心にフランチャイズ(FC)展開してきたが、
喫茶王国といわれる愛知県では、しばらく目立たない存在だった。ただし、早くからコンセプトは明確で、特に77年からは競合店との差別化のため、
(1)一戸建ての店舗に駐車場を完備、(2)年中無休で長時間営業、(3)コーヒーの味は均一にすると定めた。
さらに、(4)間仕切りの座席、(5)朝11時まではトーストとゆで玉子が無料でつくモーニングサービス、(6)ドリンクに小袋の豆菓子が付くオマケ、
(7)デニッシュパンにソフトクリームを載せた名物「シロノワール」などのパンメニューといったコメダの特徴的コンセプトも確立していった。
コメダの成功例をみて、近年は模倣する競合が相次いだ。そうした競合が真似したのは(3)以外のすべてだ。
たとえば、和歌山県に店舗を展開する「マサキ珈琲」の外観と内装は、極めてソックリだ。コメダの本拠地・名古屋市にある「金シャチ珈琲店」という店も同様だ。
興味のある人は検索して比較していただきたい。
大手チェーン各社も、コメダを模倣した。銀座ルノアールが運営する「ミヤマ珈琲」のバーガーメニューは、コメダによく似ている。
導入したコーヒーチケットはコメダと同じ「9枚つづり」だ。ちなみに名古屋の喫茶店のコーヒーチケットの基本は、11枚つづりで10枚分の
価格という電車の回数券方式で、9枚つづりは少数派だ。また、コーヒーに付く豆菓子が人気のコメダを見習い、ミヤマはコーヒーにミニクッキーを付けた。
「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数ある
経済ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。
名古屋型の喫茶店として店舗を拡大している「珈琲所 コメダ珈琲店」を運営するコメダホールディングスが、
6月29日に東京証券取引所に株式を上場する。上場が近づき、各メディアでは、同社の経営状態の分析や今後の成長予想といった関連記事が報道されている。
そんなコメダを、筆者はメディアの注目度が低かった8年前から取材してきた。そこで今回は上場を機に、あまり知られていないコメダの一面を紹介してみたい。
高収益率を支えるメニューの絞り込み
今回の上場にあたり、コメダの利益率の高さが注目された。2016年2月期の連結売上高は217億円、営業利益は66億円、当期純利益は41億円となっており、
営業利益率は30%を超える。高収益の理由は複数あるが、ここでは店のメニューに焦点を当ててみたい。
筆者が同社を取材し始めた頃、ある業界紙の編集部長が「コメダは喫茶店のテーマパーク」と説明してくれた。広い店内に数多くの
メニューを揃えているという意味だったが、実は店のメニューは絞り込まれている。
たとえばコーヒーメニューは、ブレンドコーヒー、アメリカンコーヒー、カフェオーレ、ウインナーコーヒー、アイスコーヒーなどとなっており、
昭和時代の喫茶店メニューそのものだ。近年人気の「サードウェーブコーヒー」もなければ、単一の豆を用いてブレンドしない
「シングルオリジン」もない。1杯ごとにサイフォンなどの器具を用いて時間をかけて淹れるといった手法ではないので、品数は多いが
店舗運営としては効率的なのだ。
フードメニューもごはんものはなく、パンメニュー中心に絞り込む。有名なモーニングサービスでは無料でトーストとゆで玉子がつくが、
このゆで玉子はエッグサンドやエッグトーストなどの具材にも用いる。長年の店舗運営経験から、新店舗以外は注文数がある程度把握できるので、
食材を無駄なく消費でき廃棄ロスも少ない
ただし、効率一辺倒ではない。メニュー構成を絞る一方で、つくりたての提供にこだわり、各店舗ではひと手間かけて調理する。
たとえば、カツサンドのカツは店内で揚げており、パンは仕入れ商品ではなく自社工場で製造する。
また、カツサンドのパンとミックスサンドのパンは別の種類を使用しており、食パンは風味を重視し、工場でスライスせずに
山型のまま各店舗に配送。注文を受けてから、店でスライスして提供している。
真似する競合が続出した「コメダモデル」
コメダは1968年に個人喫茶店として開業した。創業間もない70年から地元を中心にフランチャイズ(FC)展開してきたが、
喫茶王国といわれる愛知県では、しばらく目立たない存在だった。ただし、早くからコンセプトは明確で、特に77年からは競合店との差別化のため、
(1)一戸建ての店舗に駐車場を完備、(2)年中無休で長時間営業、(3)コーヒーの味は均一にすると定めた。
さらに、(4)間仕切りの座席、(5)朝11時まではトーストとゆで玉子が無料でつくモーニングサービス、(6)ドリンクに小袋の豆菓子が付くオマケ、
(7)デニッシュパンにソフトクリームを載せた名物「シロノワール」などのパンメニューといったコメダの特徴的コンセプトも確立していった。
コメダの成功例をみて、近年は模倣する競合が相次いだ。そうした競合が真似したのは(3)以外のすべてだ。
たとえば、和歌山県に店舗を展開する「マサキ珈琲」の外観と内装は、極めてソックリだ。コメダの本拠地・名古屋市にある「金シャチ珈琲店」という店も同様だ。
興味のある人は検索して比較していただきたい。
大手チェーン各社も、コメダを模倣した。銀座ルノアールが運営する「ミヤマ珈琲」のバーガーメニューは、コメダによく似ている。
導入したコーヒーチケットはコメダと同じ「9枚つづり」だ。ちなみに名古屋の喫茶店のコーヒーチケットの基本は、11枚つづりで10枚分の
価格という電車の回数券方式で、9枚つづりは少数派だ。また、コーヒーに付く豆菓子が人気のコメダを見習い、ミヤマはコーヒーにミニクッキーを付けた。
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